mellow as hell

この門をくぐる者は一切の希望を捨てよ

0317_これまでの話だけど

心境の整理がてら昔話をば。明るい話という訳ではないから、そういうのが嫌な人はここでブラウザバック推奨!

※フィクションです(?)

 

愛も無ければ仕事人という訳でも無い、それが私のお父さん。七夕生まれの癖にロマンチズムの欠片も無いなんて、ほんとに心底つまんない人。3人家族は始まった瞬間から冷めていたし、幼いながらになんとなく分かっていた。お父さんとお母さんの間には愛なんかとっくになくて、ただ「私」という責任がぶら下がっているだけだってこと。私が生まれてちょっとして、お父さんは単身赴任し、年に数回しか会えなくなった。別れる日に大泣きしていた私とは対照的に、彼はなんだかスッキリした顔をしていた。それを何度も繰り返しただけだった。結局私は祖母の家で育てられた。後にボケた祖母から「親に捨てられた可哀想な女の子」と暴露されたりするんだけどね。お母さんはお父さんについて何も話さない、だから私も何も聞かない。そうやって腫れ物に触るかのようにして育てられた私は、「人生の模範的成功ルートに従って、正常な幸せを一刻も早く得たい」と思うようになった。小さい頃の将来の夢、「普通の家庭」だった、マジで。そもそも”正常な幸せ”や”普通”なんかこの世に存在しないのにね。

私が賢くなればあの男も振り向いてくれるんじゃないかと思い、自ら中学入試を試みた。恐らく私のせいでひび割れてしまった家庭を、なんとか修繕したかった。彼は生真面目な子が嫌いだとも知らずにね。「こんな父親でごめんね」というメールを最後に、お父さんは私の前から姿を消した。「もし私がいい企業に就職したら彼はお金目当てで戻ってきてくれるんじゃないか」、バカな私は都合のいい信念を元に6年間ひたすら勉強した。偏差値は20上がった、上がった”だけ”だったけど。

時は流れ、大学受験。国公立に行けるほどの学は無かったし、某有名私立美大に合格した(センター利用ね)けれど、お金が無くて行けなかった。宗教画に惹かれたから神学部を選んだ(学費も激安)。自称進学校だったから周りから痛く叱責されたけれど、そんなんどうでもよかった。医者にも官僚にも薬剤師にも成りたくない、ただ、かみさまとかいう無条件に大多数から愛されるカリスマが憎たらしかった。大学3回生の時、母親に離婚を知らされた。親権云々で私のサインが必要らしく、裁判所に向かった。無機質な白い立方体にある無数の薄っぺらい紙の中の1枚で、私の夢は死んだ。私の20年間は形式的な文書によっていとも簡単に区切られた。かみさまなんか居てたまるかと思った。ここまで来ても、母と私はお父さん(元)の話をしない。勿論、今でも。

おかげさまで就職活動は凄まじく迷走した。就職する明確な理由が消えてしまったからだ。だけど、どうしても一般企業に就職したかった。どうしても昔の私を成仏させてあげたから。夢は叶わなかったけど、普通にそれなりに生きていけましたってストーリー。絶妙に小説になれないパンチに欠ける結末を待ち構えていた。だから社会人になった。どうしても成る必要があった。このままレールに乗って、模範的統計学上の人で居続けるのかと思っていた。

流行病の影響もあってか、社会人生活はなかなか上手くいかなかった。大人って案外みんな適当だ。責任を押し付け合い、自らの安定を第一に生活している。何も悪い事じゃ無い、当たり前だ。年長者はそれだけで偉いし、彼らの主張がその会社の「普通」を形成する。この現象が理不尽だとかは思わない、だってそんなの元から分かっていたことだし。思ったより私の忍耐力が乏しかった、というだけ。

それとあともう一つ、光を見つけてしまったのだ。あえて隠して殺した自分に再会させてくれた人達が居る。自分の中に閉じこもって本を読んだり音楽を聴いたりしまくった結果携わった能力が初めて評価(大袈裟)された、しかも私自身も望む形で。正直目立ちたくないけど、キャラじゃ無いなんて甘えてられる程もう若くもない。どうしようもない過去が過程に変わった瞬間だった。私の人生、まだまだ続編だせかも。第25巻、新章突入でこっから面白くするところ。

あの男を恨むにも擁護するにも、彼のことを知らなさすぎる。私に名前だけ付けて、私の中で死んでしまった人。明るい子に育ったかどうかは微妙だけど、日進月歩はしていると思う。私は結局まともに生きられそうにない。壊れたままでいることを選んだ。お父さんと赤ちゃんという生物が未だに苦手だ。分かんないからさ、私には。いつか全部心から愛せたらいいけど。それはたぶんもうちょっと先の話、方向は間違ってないと思う。


春を殺した夢は壊れたけど 蘇生された春で夢に似た何かはひかっている

 

こんなところまで読んでるなんて、余程暇だったの?かわいい人ー。